卓球台の色の変化と誤訳

こんにちは。浅野 正憲です。
産業翻訳者として活動しながら、翻訳者を育成し、様々なテーマでブログを発信しています。

時代とともに変化していくものやことは非常に多いですよね。
実際、僕は昔サッカーをやっていたこともあり、
サッカー関係のニュースなどをチェックしているのですが、
少し前になりますが面白い誤訳があったので、少しだけ紹介しますね。

 

少し前にあった面白い誤訳


これは2010年W杯の時期の話なのですが、
当時日本代表の監督を務めていた岡田武監督が、英サッカー誌のインタビューで
「退任後には何をしたいですか?」
という質問に対し、
「晴耕雨読に過ごしたいです」
と答えたようです。

浅野
元の意味で考えると、
「晴れた日には畑を耕し、雨が降った日には本を読む」
ということから、
「悠々自適の生活を送る」という意味になりますよね。

ですが、翻訳された文章を読んでみると、
「農業をしたいです」
と翻訳されてしまっていたというのです。

そのことから、岡田元日本代表監督は
「農業をやるのではないか」と噂され、
沖縄のバナナ園や北海道のある町長からなどから、
「ぜひ来て欲しい」とオファーをされてしまったほどです。

【参考ページ】はこちら▽


これは日本語から英語への翻訳で起こったことですが、
反対に英語から日本語の翻訳で起こったこともあります。

一時代前の卓球台の色というと、どんな色を思い浮かべますか?

薄暗い緑色が主だったことを、年長世代ならご存知だと思います。
なので、卓球というと、なぜか薄暗いイメージがありました。

ところが、今では、卓球台は、明るいボードで、色も緑に限らず、青やオレンジなども国際大会では見受けられます。

なぜかというと、それまでの薄暗い緑色が、卓球を日本に導入した時の誤訳によるものだったからです。
それは、英語で書かれた卓球台の色の規格を訳した時に、
darkという単語を「暗い」と訳したことに起因するものでした。

辞書で引けば、暗いという意味が真っ先に出てきますが、
実は、darkには「暗い」とは別に「色の濃い」という意味もあるのです。

色が濃ければ、白い卓球のボールが見分けやすいという意味でしたが、暗いと訳したために、卓球台は暗く、卓球のイメージも暗くなってしまったという経緯です。

ちょっとしたニュアンスの違いではありますが、
これにより卓球台は薄暗い緑が主流になってしまいました。
最近になって、明るく濃い色の卓球台がイメージチェンジで登場しました。

それ以外に、辞書で最初に出てくる訳語をそのまま使い、
本来の意味とは、ずれてしまった例といえば、
World Trade Center を「世界貿易センター」と訳したことも、そうかもしれません。

この場合のTradeを貿易と訳すと、世界各国との輸出入の貿易のような
イメージが強くなり、そういうことが中心の場所というイメージを
強く持ってしまいますが、実際、英語でTradeとは、
商取引全般を指す意味であり、ビジネスのセンターという意味が正解だったと思います。

また、よく聞かれるDowntownですが、
これは「下町」と言葉通りに訳してしまいがちですが、
英語でdowntownを使う場合は、下町というより、中心街や繁華街という意味が正しいのです。

つまり、山のふもとの開けた場所という意味合いです。

対して、downtownの反対のuptownは、「山の手」と思ってしまいますが、
これは、「住宅地区」という意味になります。ただ、uptownには、
日本語でいう山の手、いわゆる高級住宅街の意味合いで
使われることもあり、ビリー・ジョエルのヒット曲”Uptown Girl”は、
”Downtown man”の「山の手のお嬢様」への恋心を歌った歌詞でした。

こういう場合は、「山の手」と「下町」という意味が正しくなります。
こういう単語には、注意が必要ですね。

日本だけでなく、海外の文化や背景というものを理解していないと、誤訳が起こってしまう場合が稀に見受けられます。

あなたは翻訳をする際にしっかりと裏どりはされていますか?

身につけた『翻訳スキル』を武器に、あなたにはこのような間違いを
起こさないようにしていただければ幸いです。

 
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