フリーランス翻訳者が知っておきたいマーケティング分野の翻訳について

こんにちは。浅野 正憲です。
産業翻訳者として活動しながら、翻訳者を育成し、様々なテーマでブログを発信しています。

翻訳には様々な種類があり、出版翻訳、映像翻訳、産業翻訳、医療翻訳、特許翻訳などがありますが

その中でも多岐に渡り細かく分かれています。

僕の講座では産業翻訳者の育成と指導を行っており、僕が話している産業翻訳とは「マニュアルやホームページ」の翻訳のことを指しています。

ですが、分野の違いってとても分かりにくいんですよね・・・

今回、受講生さんより産業翻訳(マニュアル、ホームページの翻訳)と、マーケティング分野の翻訳の違いについて聞かれたので、マーケティング分野についてお話ししていきます!

 

フリーランス翻訳者が知っておきたいマーケティング分野の翻訳とは?


早速、本題のフリーランス翻訳者が知っておきたいマーケティング分野の翻訳についてお話ししていきます。

マーケティングは少しマニュアルやホームページの翻訳とは異なります。

マーケティングはものを売るための文書なので

例えばアメリカだと

「メキシコへバカンスに行く」

となっているところを

日本人はメキシコへバカンスへは通常行かないので、日本に合わせるために

「ハワイへバカンスへ行く」

などのようにしないと売れないのでトランスクリエーション的に意訳する必要があります。

他の例を上げると

新製品案内の英文和訳の場合、よくこのような文が見受けられます。

We are proud to present this brand-new product.

「我々は、誇りをもって、この新製品を発表します。」

まず、企業なので「我々は」ではなく、「当社は」です。

また、「誇りをもって」は大袈裟な響きがあるので、「自信をもって」と訳した方がいいでしょう。

なので、

「当社は、自信をもって、この新製品を発表します。」

とすると、マーケティング的には適切です。

ただ、企業が顧客に対して行う年度のご挨拶をする場合に同じような表現があれば、日本では謙虚さをアピールする意味で、

We are proud to announce 10th anniversary of the company’s operation.

(当社は、誇りをもって開業10周年をお知らせいたします。)

というのは、「誇り」や「自信」とは真逆に「謹んで」という表現の方が適切でしょう。

浅野
また、このようなマーケティングが混ざった翻訳は、身近な分野にも多く見受けられます。

いい例が【映画】です。

2014年に大ヒットしたディズニーのアニメ映画「アナと雪の女王」は、

まず、原題が”Frozen”でした。

それを日本人観客向けにタイトリングしたのが、マーケティングの成せる技といえます。

そして、映画で有名となった挿入歌の「ありのままで」は、原語では”Let it go”で、意味が違います。ただ、登場人物の想いと日本語としてリズムに合う歌詞として、このような言葉になったのだと思われます。

その他、映画といえば、かなり古い映画になりますが、アメリカのクラシック映画「風と共に去りぬ」の最後の有名な台詞の訳です。

“After all, tomorrow is another day. “

直訳すれば「明日は別の日です」となりますが、

これでは、日本人の観客にはピンときません。

日本で公開された同映画の字幕や吹替では、

「明日に希望を託して」

「私には明日がある」

という訳がつけられています。

同じメッセージでありながら、マーケティングを考慮に入れて、独自訳にした感じです。

また、マーケティングというと、観客を不愉快にさせない、苦情が来ないようにするというような意識も必要です。

これは、むしろ、和文英訳で起こりがちなことでもありますが、

日本では当たり前に使っている用語が、現地では不適切な差別用語としてみられることがあるので、訳をする時に、差別用語にならない言葉に変換します。

こちらがいい例です。

アメリカの黒人 → Afro-American (アフリカ系アメリカ人)

インディアン → Native American (アメリカ先住民)

スポークスマン(広報官) → Spokesperson

これは、欧米では、Political Correctnessと呼ばれる言葉の政治的な適正性を考慮した使用方法です。

また、単純に発信する場所が、違うということで、変更をする場合もあります。

例えば、日本で、自社製品を「国産化した」と謳ったものを英訳した場合は、あえて、国産ということは強調せず、単に”produced in Japan”とだけ書くこともあります。

また、あえて、言葉を訳さず、そのままにして流す場合もあります。

いい例が、クレジットカードのマスターカードのCMです。

様々なものは、値段にできるが、値段にできないものがあるとして、

物品とは違った人間同士の交流や愛情に関しての場面で、”Priceless”という言葉を使いますが、これは、「価格にできない」という意味ですが、CMでは「プライスレス」とそのままいっています。

これらが直訳や、読む人に分かりやすくする目的のための意訳や校正とは違った、マーケティング目的の翻訳です。

まとめ


いかかでしたか?

「納得できた!」という方もいれば

「なんとなく分かったような・・・」とまだ曖昧な方もいるかもしれません。

翻訳の分野を全て理解したり覚える必要はないと僕は思います。

フリーランス翻訳者を目指している方は、まずはトライアルに合格することが大事です。

その目標に向かってしっかりと勉強していきましょう。

 
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